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2010年11月12日

ハーバード白熱教室

ハーバード大学で最も人気のある授業である
マイケル・サンデル教授の"白熱教室"(英名:Justice)が日本で行われた録画を
少しだけ観る機会がありました。大学総合教育研究センターとNHKの共催で
東京大学の安田講堂で初めて米国外で行われました。その素晴らしさ、面白さは
ご存じと思うので、今更、あれこれと言う必要は無いでしょう。
icon76ハーバード白熱教室 in JAPAN

▼ハーバード白熱教室 in JAPAN
ハーバード白熱教室

その中で心に残る一つの言葉がありました。うろ覚えですが日本語訳だと、
『国際グローバル化を進めると、貧困の格差は益々広がる』との意味だったと思います。

今話題の環太平洋戦略的経済連携協定、
略してTPP(Trans-Pacific Strategic Economic Partnership)はご存じですよね?
環太平洋の国々で輸入・輸出にかかる関税を例外なく全て廃止しよう、というものです。
既にオセアニア、東南アジアの国が参加を表明しており、アメリカも参加予定。
そして最大の注目は中国も参加に向けて”興味を示している”そうです。

日本は態度を留保していますが、今の政権だと色々言われているように
TPPに参加する方向なのでしょうね。自動車や電気製品の関税が5-10%くらい安くなり
売上が拡大する事を期待してだと思います。しかし逆に輸入となると、米や牛肉は
関税がゼロになる事で一気に安くなります。米の関税は700%くらいでしたから、
例えば10kgで2,100円だったカリフォルニア産米が、10kgで300円になると言う事です。

この様にグローバル化を進めると、強いものが勝ち、弱いものが負ける構造がハッキリ
してきます。日本は益々自動車や電機、鉄鋼などに特化していき、それ以外の産業は
消えてしまっても良いのか、この先の日本の運命を決める大事な案件だと思います。
まさに、グローバル化で弱肉強食の世界が色濃く出る、と言う事でしょうね。

今の日本に国際競争力はあるのか?勝ち組になれるのか?・・・かなり疑問です。
ここに示すのは米ゴールドマン・サックス社が発表した2050年の世界のGDP予測です。

▼世界のGDP予測 ※米ゴールドマン・サックス社
ハーバード白熱教室
icon76Global Economics Paper No: 153 ※こちらから全資料(pdf)がダウンロードできます

現在、日本はアメリカに次ぐ世界第2位の経済大国です。
(2010年現在:米14,000、日本5,000(=約410兆円/年)、中国4,900 US Billion$)
しかし、40年後の2050年には8位まで転落し、1位との差は広がる一方です。
しかも1位は中国、2位争いがアメリカとインドになる、との予測なんです。
日本経済は、ブラジルやメキシコ、インドネシアにも負ける(失礼!)のが今後の世界情勢。

しかも日本には概算840兆円にもおよぶ借金がありますよね⇒日本の借金時計
ひと家庭あたりに換算すると1,600万円も返済する義務がある計算になります。
貴方の家の家計から、いきなり1,600万円も支払えと言われても困りますよね?
一体、この国の政治家や大蔵省は何をしていたのか。今後どうなるのかとても不安です。
社会保険庁も信用できないので老後も心配ですよね。道路とか作ってる場合じゃない。
(補足:現在年間100兆円返済してます。日本の国家予算は一般会計90兆円、特別会計と
 合算して重複分を差し引くと220兆円くらい・・・国会で審議される予算はたった40兆円
 なのでほとんどは国民が知らないうちに無駄に使われている計算になりますね)


ソフトバンクの孫社長が提案している「光の道」構想では、明らかにソフトバンク提案が
国民にとって利便性もあり、安くなるので良いのですが、既存の電力会社やCATV会社の
事業が潰れてしまうという問題があります。メタル線を整備・管理していく事業の雇用などの
問題もあるでしょうね。これもグローバル化と貧困の格差なのかもしれません。

日本が国際グローバル化を進めていくのか、国内産業を守るために閉鎖的になるのか?
とても重要な案件だと思いますので、子供の世代の為にちょっと政治に目を向けてみて下さい。


蛇足ですが、Googleと言う会社は、彼らのシステムを普及させる事で、
『世界の貧困の格差を是正する』という崇高な理想を掲げて創業しましたね。世界中の
どこからでも彼らのシステムに参加する事が出来て、利益を得る事が出来るからです。
これは一方では正しく、他方では間違い。つまり、Google以外の会社は潰れていく(笑)

マイケル・サンデル教授の一言から、こんな事を考えてみました。


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Posted by iriek at 18:45│Comments(5)
この記事へのコメント
深いですよね~何事も・・・。
Posted by ぴあぴあ at 2010年11月12日 21:00
わかりやすい表現ですね。

TPPは車vs農業の構図で報道されてますが、全くの誤解です。

一番大きな話題をピックアップされているだけで、国民全てに大きく影響する問題です。

自由化はモノだけでなく人や利権にも及びます。

つまり、安い労働力や、医師免許も自由化。
海外で取得した医師免許で国内でも簡単に開業出来るようになるそうです。

企業は利益を出さなければなりません。

リーマンショックの時を思い出してください。
派遣切りと言う言葉が普通に交わされていました。

今の日本にはTPPは必要ないと思われます。
TPPは現代の植民地化へ向かうモノです。

マスコミには本当の情報を流して欲しいし、国民にはもっと興味を持って欲しい。
龍馬伝を見ていると、今の政府が幕府と被ってしまいます。
Posted by ボビー at 2010年11月13日 06:27
>ぴあさん
深いぃぃ・・・ですよね!


>ボビーさん
コメント有難うございます。
一応、メディアでも雇用問題も取り上げていると思います。
残念ながら、国民に興味が無いのがやはり一番の問題なのではないでしょうか。

雇用の問題はTPPに加入しなくても、国際的な競争力を確保するには
農業と言えども避けては通れない気もします。難しい問題ですよね。
日本人は給料が高いので、アメリカがそうしたように、肉体労働から
知的労働の方にシフトせざるを得ないのではないでしょうか?ただ日本人らしさは
伝統的な”モノ作り”ですから、アメリカと同じには出来ないかもしれません。

農家の方は、個別保障制度の拡充などもあるようですが、
財源がどこにあるのか不明瞭なので信用できないし、国の借金が増えるだけです。


最後に龍馬伝ですか・・・自分は龍馬伝を観て別の事を考えました。
日本には中小企業の数が異常に多く、それが労働生産性の低さ(豊かさを実感できない)や
少子化問題などを引き起こしています。龍馬伝を観ていると、日本は頭の良い人、
実行力がある人が起業して、一国一城の主(=藩の大名)となりますが、
それが日本の中だけで利権争いをするだけで、外国に対して競争力が持てなくなっている、
まさに幕末の状態だな・・・と思いました。

もっと日本人は協力して、世界に勝てるモノを作っていかないといけない。
中小企業の数を減らし、日本人は知力・実行力を集結して世界と戦えるモノを作る必要がある。
その為にも政府=幕府の仕組みも一度壊さないといけないのかもしれませんね。
これって幕末日本、龍馬伝の構造とそっくりだと思いませんか?
Posted by iriekiriek at 2010年11月13日 10:15
最近…橘玲さんの本を読んで
自由貿易は現在、貧しい国々にとっては
比較優位でメリットになるが富める国に
とっては富の流出の危険性が高い

という内容をだったんで…
世界の貧しい人が富を得るために
自分たちが苦しくなることを許せるのか?

そんなん考えると…チャリティだなんだって
偽善じゃないのかなぁ~なんて…
どうも経済と関係ない方向性に思考が
向かってる気がしてます
Posted by 春 at 2010年11月14日 00:02
>春さん
なるほど、Googleと同じ発想ですね。
この考えも一見正しいとは思うのですが、誰か特定の人が儲かると思う。

人は成功すると、お金、地位、豊かさなどを手に入れる事が出来ますが、
最後に名誉とか尊敬なんかは絶対にお金では買えないですよね?
だからお金持ち達は、最後にボランティアとかチャリティをするんです!
身近なところだと○ータリークラブや、○イオンズクラブなんかも、
お金持ちのボランティア団体ですし、あのビル・ゲイツだって・・・・(笑)
Posted by iriekiriek at 2010年11月14日 10:13
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